発言の流れ
流通と価格形成
2発言○原山委員 日本維新の会の原山大亮です。
農林水産委員会では初めての質問となります。不慣れな点や、これまでの質問と重複点もあるかと思いますが、どうかよろしくお願い申し上げます。
今回の改正では、流通実態の把握強化のため、定期報告を義務化し、あわせて、罰則を、行政罰の過料から刑事罰の罰金へと大幅に引き上げるとしています。一方で、令和七年六月の農水省調査では、現行の届出事業者でさえ、期日までに報告したのが約二割にとどまっています。この原因は、届出の意義や必要性に対する理解が十分でなかったと、農水省自身が分析をしておられます。ここに今回の改正の設計上の緊張感があると私は思っています。
理解不足が原因であるなら、まず手を打つべきは周知、理解促進のはずです。ところが、今回は、周知と並行して、罰則を刑事罰へ強化する、今まで食糧法と無縁だった中食、外食の事業者が制度を知らないまま施行日を迎えた場合、善意の不作為が刑事罰の対象になり得るのではないかと思っています。
周知の徹底と罰則の発動、この二つの間にどのような猶予の設計をお考えなのでしょうか。
例えば、施行後一定期間は罰則を適用せず行政指導にとどめる段階的施行にする、あるいは業界団体への説明会完了を施行の前提条件にするなど、具体的な順序の設計があると思います。
周知を徹底するというだけではなく、周知と罰則発動の間にどういう設計を置くのか、罪刑法定主義の観点からも含めてお聞かせください。
○根本副大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、新たな届出制度を実施するに当たりましては、事業者が十分な時間的余裕を持って準備を行い、確実に届出を行っていただくことができるようにすることが必要であるというふうに考えております。このため、法案の経過措置といたしまして、施行日から半年間前倒しして届出いただける規定を整備しており、法案をお認めいただいた暁には、下位法令のできるだけ早い公布や、事前周知の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
また、法の施行後も、引き続き、きめ細かい情報提供や意見交換を通じて制度の周知を徹底するとともに、事業者への助言などを行うことも通じて、委員が御懸念のような、意図をしない方が法律違反にならないように、丁寧に対応してまいりたいというふうに考えております。
以上です。
政府備蓄米の運用
5発言○原山委員 ありがとうございます。
次に、民間備蓄の義務づけ対象は一定規模以上の大企業に限定されるとのことで、その点は、事業者負担の観点から合理的な設計だと思います。しかし、だからこそ別の問題が生じることもあるかと思います。
供給危機が起きたときに、まず供給量そのものが減る、すると、各社が防衛行動に入り、在庫を抱え込みます、流通が細り、体力のない中小企業から先に困り始める。これは、総量の問題ではなく、流通の構造問題だと思います。
この連鎖は、既に別の分野で経験をしています。先ほども少しお話がありましたが、石油やナフサ由来の石油製品です。供給が逼迫したときに、日本全体の在庫がゼロになったわけではないにもかかわらず、大手各社が原料を防衛的に囲い込み、買占めと転売が横行した結果、川下の中小事業者に製品が回らなくなった。総量はあるのに必要なところに届かない、これが目詰まりの本質ではないかと考えます。
備蓄米でも全く同じ行動が起きるのではないかと私は懸念をしています。大企業が、備蓄米を保有しているだけで放出しない、あるいは系列の取引先などを優先して供給すれば、数字の上では備蓄があっても市場には出回らない。石油備蓄法に基づく民間備蓄の放出でも、大手元売が系列店への優先供給をした結果、系列外の販売店では調達が困難になったという実例が既にあったかと思います。
島根県の丸山知事がかつて指摘されたように、総量が足りていても、必要な人にタイムリーに届かなければ問題は解決しないと思います。政府が、民間備蓄があるから大丈夫と、総量で説明するとすれば、それは、半分正しく、半分ずれている部分もあるのではないかと考えています。
そこで、二点伺いたいと思います。
一点目、大企業が備蓄米を放出する際に、系列優先となり、系列外の中小販売店、地方の小売に届かない目詰まりを防ぐため、政府はどのような仕組みを設けるお考えでしょうか。放出先の分散や政府による放出指示の仕組みも含め、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
二点目に、令和八年度の実証事業において、特定地域、特定業種への供給が途絶するシナリオを明示的に検証する考えはあるのでしょうか。総量の確認だけでは不十分であり、流通の末端まで届くかどうかを実証の設計に組み込むことが不可欠と考えていますが、政府の見解をお聞かせください。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
民間備蓄は、売渡しの決定や出荷を日常的に行っている民間事業者の商流を活用することで、入札などの売渡し手続に時間を要する政府備蓄米よりも迅速に備蓄米の流通を図るというものでございます。
この民間備蓄を担っていただく方々につきましては、一定の取扱規模、経営基盤を有し、地域、流通段階で生じた不足に広域で対応できる流通網を有するといった考え方の下、大規模な事業者に限定する考えでございます。しかしながら、先生御懸念のように、こうした事業者、大規模事業者であったとしても、場合によっては、平時において系列外などが流通を担っている地域における米の供給不足に対応できないといったケースもあり得るというふうに我々としても考えてございます。
このため、このような事態を招かないよう、民間備蓄の放出に際しては、例えば委員御指摘のような、系列外の地方の小売店における在庫不足なども想定して考える必要があると考えておりまして、このため、今回の食糧法の改正法案におきましては、国が不足している地域や業種を指定して譲渡しの要請や勧告を行うことができるという形で措置を考えているところでございます。
また、こうした民間備蓄の仕組みが適切に機能するかどうかも、今年度行う実証事業において確認することとしておりますが、その際には、委員の御指摘も踏まえまして、流通の不足している地域などにおけるシナリオにつきましても放出訓練の対象として考えてまいりたいというふうに思っております。
○原山委員 最後に、今回の改正案全体を俯瞰したときに感じる根本的な問いを、鈴木大臣にお伺いしたいと思います。
今回の改正案は、大きく二つの方向を向いていると思います。一方では、需要に応じた生産の促進として、生産調整方針を廃止し、生産者が市場ニーズを見て自律的に判断する、いわば市場原理への移行を宣言しています。他方では、民間備蓄を義務づけるという規制強化を行っています。この二つは、設計思想として整合しているのでしょうか。
市場原理に委ねるということは、需給が引き締まれば、価格が上がり、生産者が増産に動き、需給が緩めば、価格が下がり、生産者が作付を絞る。そのサイクルが正常に機能するなら、備蓄の義務づけという介入はなぜ必要なのかということです。
逆に、市場原理だけでは需給安定が保障できないから備蓄義務づけという介入が必要だというなら、なぜ生産側への介入である生産調整方針は廃止するのでしょうか。
生産側は市場に任せ、流通側には義務を課す、この非対称性にはどういう政策論理があるのか、この改正案の設計思想の一貫性をお聞かせください。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
まず、米の流通につきましては、平成六年の食糧管理法廃止、そして食糧法の制定や平成十六年の食糧法の改正によって、もう既に原則自由化をしてきているところであります。
今回の届出、定期報告や民間備蓄の導入に当たっても、これらの義務を履行することを出荷、販売などの事業を行うための要件にするわけでは全くなくて、米の流通については原則自由化を維持するという考えには変わりはありません。
ただ、一昨年来の事態も踏まえまして、一方で、国として米の需給の安定を図っていくに当たりまして、適切な備蓄運営を確保するために、一部の事業者に対して定期報告や民間備蓄の義務づけを行う必要があるというふうに考えたところであります。
こうした取組に伴う事業者負担にも配慮をし、対象を一定規模以上の事業者に限ること、そして、民間備蓄に係る事業者の負担については、備蓄米の保有が円滑に行われるよう、政府が必要な財政上の措置その他の措置を講ずることにより、可能な限り民間事業者の皆様の事業に支障を生じないようにしてまいる考えであります。