発言の流れ
導入・その他の質疑
3発言○山崎委員 中道改革連合の山崎正恭です。
久々の農水委員会での質問になります。このような機会を与えていただきまして、大変にありがとうございます。
貴重なお時間ですので、早速質問に入りたいと思います。
大臣、済みません。少し質問の順番を入れ替えさせていただきまして、行きたいと思います。
まず初めに、食料システム法の施行に伴い、米のコスト指標が公表されましたが、農水省が令和八年三月に公表した米のコスト指標では、生産原価から、副産物価額として、玄米一キログラム当たり十五・七円が差し引かれています。この副産物、すなわちくず米等は、精米過程で発生し、飼料や米菓等に転用される収益として控除されています。
収益が生産者に帰属するのであれば、差引きは理解できます。ただ、副産物価額の差引きは、集荷形態によって生産者への帰属が異なっているのではないでしょうか。そうであるならば、一律に控除されるのは、コスト指標の公正性に問題が出てきます。
例えば、大規模集荷地域では、フレコンバッグによるトンバッグ集荷が主体であり、脱穀、乾燥は、集荷、卸売事業者が総量管理の下で行っています。この場合、副産物の処理主体は集荷、卸売側となり、その収益が生産者に還元されているかどうかは、事業所ごとに不明確、あるいは生産者には届いていないケースがあるのではないかという声があります。
そこで、本差引き額の算定に当たり、袋集荷とトンバッグ集荷とで副産物の帰属先が異なる実態を、集荷形態別に確認した上で設定されているのでしょうか。もし集荷形態の違いを考慮せず一律に控除しているとすれば、トンバッグ集荷が主体の産地の生産者は、受け取れない収益を差し引かれた不当に低いコスト指標を押しつけられることになってしまいますが、実態はどうなのか、お伺いします。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の米のコスト指標でございますが、これは生産者の団体から小売の団体までの方々が意見を交換する中で設定されたものでございます。
その中で、米のコストの指標の策定に当たって、米の生産に係る費用の実態につきましては、農林水産省の生産費統計における全算入生産費を活用しようということで合意がなされたというふうに承知をしております。
この全算入の生産費ですが、米の生産費は、稲作経営における主産物、主食用に供される米の生産費を調査するものでございますので、米の生産に当たってふるい下米ですとか稲わらなども発生しますから、主産物の生産費は副産物の生産に要した費用を含めずに算出する必要があるということで、食用に供される米の生産に係る費用を集計する目的から、副産物価額を差し引いて算出するということになってございます。
我々も調べたところ、生産費調査において、ほとんどの経営体はふるい下米などの副産物の取引額を計上しているという実態にございますので、御指摘のような副産物収入を受け取れない生産者というのはごく僅かになっているのではないかというふうに考えております。
こうした実態から、生産者団体の皆さん始め、小売の団体までの皆さんで合意して、コスト指標を作成するに当たって全算入生産費を用いたということにつきましては、十分合理的な考えなのではないかというふうに承知しております。
○山崎委員 分かりました。では、副産物はしっかりと生産者の方に戻っているというふうな、ほぼ戻っているということが確認できましたので、次の質問に入りたいと思います。
今回公表された米のコスト指標において、生産部門のコストは、農産物生産費統計という国の統計データに基づいて算出されています。一方、集荷、卸売、小売の三セクションは、いずれもヒアリングやアンケート調査を基礎としており、各セクターが乗せる利潤についての農水省としての指針、方向性が一切示されていません。
令和六年に発生した米騒動では、流通、小売による極端な価格操作が消費者に多大な混乱をもたらしました。その後の農水委員会での議論においても、利潤の適正水準に関しては、値頃感という言葉が繰り返されるのみで、国として流通セクターの利潤に対する具体的な考え方が示されることはありませんでした。
コスト指標が整備されても、三セクターが自己申告の利潤を乗せ続ける構造が温存されるなら、指標は実質的な意味を持ちません。
例えば、国土交通省の積算基準では、実績データが十分に蓄積されていない新工法については一般管理費率を低く抑えるという考え方を取っています。これは、データの信頼性に応じて利益率を制御するという合理的な発想であります。
農水省が公表したコスト指標では、統計データに基づく生産部門と、ヒアリングというファジーな手法に基づく集荷、卸売、小売の三セクターとでは、データの信頼性に格段の差があります。にもかかわらず、三セクターの利潤については、農水省としては何ら方向性が示せていません。
そこで、食料安全保障の観点から、農水省として流通三セクターの利潤に対する方向性を明確に発信すべき時期に来ていると考えますが、市場に口を出さないという従来の姿勢を改め、少なくとも自己主張の利潤を乗せないよう三セクターへ指導、発信する意思があるのか、大臣の見解をお伺いします。
米価と需給
1発言○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
まず、今、山崎先生がおっしゃる国交省と米の世界を比べるというのは、全く私は違うというふうに思いますね。なぜかというと、国交省は国が事業の発注主体ですから、公共事業ですから、その点と、米は自由な流通の中で価格形成されるわけなので、そこは一緒のものとして比較をされるというのはちょっと違うかなと思います。
その上で、米の価格は、需給バランスなど、民間の取引環境の中で決まっていくものであります。国が利潤の具体的な水準に言及することは、価格の具体的な基準を示すことにつながり、自由な取引を阻害するおそれがあるため、適当ではありません。
その上で、食料システム法に基づくコスト指標は、持続的な供給に要する費用を示すことにより、生産から販売に至る各段階のコストが消費者にも明確になるという側面もあります。
なお、指標作成に当たり、集荷、卸売、小売の各段階のコストについては、公的な統計データは存在しませんので、国が行うコスト調査の結果を使用することとして関係者間で合意をされたものと承知をしております。
農林水産省としては、流通セクターも含め、コスト指標が適切に活用されるよう、分かりやすいガイドブックなども作成し、説明会で広く周知してきたところでありまして、今後も、関係者からの相談に丁寧に対応するとともに、関係者の間で取引協議に応じないなどの事案が確認された場合には、食料システム法に基づき、指導助言や改善に向けた勧告を行うなど、取引の適正化にしっかりと取り組んでまいります。
生産者の経営と所得
2発言○山崎委員 ありがとうございました。
おっしゃるように国交省の発注とは違うと思いますけれども、今回の法案の目的に照らして、先ほど大臣が言ってくださいました、そういった、機能しているのかどうかということをしっかりとチェックしていただいて、そういったことにならないと、生産者の皆様方を含め、この法案に期待している方々が、本当に、その思いがうまく届かないというか、持続可能なものにならないと思いますので、しっかりと実効性を見ていっていただきたいというふうに思います。
その上で、四月から施行されましたけれども、コスト指標が整備されているのは現時点で米のみです。指定野菜十五品目、特定野菜三十四品目を始めとする農産物のコスト指標が存在しなければ、生産者は流通側との価格交渉において客観的な根拠を持てず、法の根幹である生産コストを価格に反映する仕組みが機能しません。
また、コスト指標は一度整備すれば足りるというものではありません。現下のエネルギー、資材高騰を踏まえると、重油、ビニール、ポリ製品、化学肥料の価格が急変している中、算出時点のコストの実態との乖離が生じれば、指標そのものの信頼性が損なわれます。令和八年三月版の米コスト指標においても、イラン情勢以降の資材価格の急騰は数値には反映されていない可能性もあります。
そこで、指定野菜十五品目、特定野菜三十四品目のコスト指標について、令和何年度中の公表を目指しているのか、具体的なスケジュールをお示しください。
あわせて、価格変動が激しい燃油、資材等については、定期的な改定サイクル、又は価格変動が一定水準を超えた場合には臨時改定を発動する仕組みを設ける必要があるのではないかと思いますが、お考えをお伺いします。
○鈴木国務大臣 野菜のコスト指標作成につきましては、生産から販売に至る関係者間で、まずは供給量の多いバレイショ、タマネギ、キャベツから検討が進められています。
今後、関係者で組成をされるコスト指標作成等団体において、これら三品目のコスト指標の作成の方法や活用方法に関する議論が進められることとなります。その課題などを踏まえながら、品目の拡大についても関係者間で検討が行われていくものと考えております。
農林水産省としては、これら関係者による議論が着実に進むよう、引き続き後押ししてまいります。
また、農林水産大臣として定めました、食品等の持続的な供給を実現するための食品等の取引の適正化に関する基本的な方針には、コスト指標の作成後も費用の急激な変化など特段の事情が生じた場合には関係者間の判断により随時改定することも可能とする旨、明記をしております。これに即して、資材費などの変動なども踏まえた改定も必要に応じて行われていくものと考えております。
同時に、一回コスト指標をこの品目はこうですと定めたとしても、当然様々なものが、特にガソリン価格なんというのは結構値動きが激しいですから、そういったものの状況というのは当然、その取引の間に、その指標は指標としてあるんだけれども、今現状としてこうですよねということで、取引の条件としては当然考慮されるべきものだというふうに考えます。
政府備蓄米の運用
5発言○山崎委員 ありがとうございました。
新食料システム法は、生産者の持続可能性と消費者への適正な価格での供給を結ぶ重要な法律であります。しかし、米のコスト指標しか存在しない現状では、野菜、果樹、畜産、水産といった、広大な一次産業に法の効果が届いていません。しっかりと、コスト指標の早期全面整備と迅速な改定体制をお願いします。
やはり、米じゃなくて、私の地元なんかは施設園芸とか野菜とかがありますので、どういった地方性が考慮されるのか、時期はどうなるのか、できるだけ細かいコスト指標の作成、そして改定を望む声が大変多くありますので、これからの整備だと思いますけれども、是非その点も踏まえたコスト指標の作成をお願いしたいと思います。
次に、四月の閣議決定により、米の民間備蓄義務化の方針が示されました。備蓄量の拡充という観点では一定の意義があると理解します。しかし、緊急時の価格制御という観点については重大な懸念があります。
それは、政府備蓄米であれば、入札等を通じて、比較的抑えた価格で市場に放出することが可能です。ところが、民間備蓄業者は、購入原価を下回る価格での放出には応じることはできないと思います。民間備蓄が制度として存在する以上、緊急時においても民間業者は自らの備蓄を市場価格で供給し続けることができ、価格抑制効果が利かないのではないかという懸念です。
燃油の民間備蓄では政府主導で放出比率が調整されていますが、米の価格は、国際市場の需給が関与しない国内完結型の価格決定構造であり、同様の調整が機能するかが疑問であります。
そこで、民間備蓄米の放出基準及び放出時の価格決定の方法、すなわち、品薄による価格高騰の中でどのように価格抑制をしていくのかについて、現時点での制度設計をどのようにしているのかをお示しください。
仮に、民間備蓄業者が市場価格での供給を継続する中で価格抑制効果が発揮できないとすれば、今回の民間備蓄義務化は、緊急時の食料安全保障に資するどころか、価格抑制の手段を民間から政府に移転する結果となりかねません。この点について、大臣の見解をお伺いします。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
米の価格は、需給バランスなど、民間の取引環境の中で決まっていくものでありまして、需給の安定を図ることを通じて、結果として価格の安定化が図られることが基本であるというふうに考えております。
ですので、備蓄米の放出の基準については、価格高騰時ではなくて、供給量が不足をしている場合に売り渡すとの基本的な考え方に立ち、届出事業者からの在庫量や出荷、販売量などの定期報告などに基づき供給量の不足を把握した場合には、機動的に備蓄米を供給してまいります。
不足をしているわけですから、実際問題としては、価格が高騰しているという状況は当然あり得ると思いますが、是非御理解をいただきたいのは、価格を直接抑制することを目的に備蓄を放出するということは我々は一切いたしません。
また、その際の民間備蓄の価格につきましては、先ほど述べたとおり、民間の取引環境の中で決まるものですが、ただ、米の安定供給を図るという民間備蓄の趣旨を踏まえて、合理的でない価格で民間備蓄が売り渡されるという事態は防ぐ必要があろうかというふうに考えております。
今現在公募中の民間備蓄に係る実証事業を行いますので、これらも踏まえてしっかり検討させていただきます。
○山崎委員 民間備蓄によりまして、古米とか古々々米とかじゃなくて、もう少し米が回るということと、大臣も今、バランスを取られた中で、量を調整する中で価格を見ていくということですので、しっかりと実態を見ていただきまして、やはり消費者の皆様方にそういったときに安定した価格で届けるということが重要だと思いますので、かなり工夫された制度になったと思うんですけれども、これが実行されるようにしっかりと見ていただいて、国民の皆様方の生活の安定を是非見ていただきたい、チェックしていただきたいと思います。
次は、多分最後の質問になると思いますが、農水省は、新食料システム法の施行に併せて、五年間で一・三兆円の構造転換支援を進めるとしています。しかし、農水委員会での議論を聞く限り、支援の重点は多収、品質向上を目指す大規模優良生産者に向けられており、産業の裾野を支える中小規模の生産者への手当てが手薄です。
セーフティーネットや収入保険を十分に活用すれば経営安定につながることは理解できます。しかし、加入に必要な掛金、積立金の元本を工面できない農家、工面できても少額しか積めない農家が実態として多数存在します。こうした農家は、構造転換支援にもセーフティーネットにもアクセスできない、支援の空白に置かれています。
特に、イラン情勢を契機とするエネルギー、資材高騰の下で、高知県では、令和七年度の重油末端価格が百二十円台という記録的な高値となり、来期のキュウリ等施設園芸の作付を断念する農家が現実に出始めています。
そこで、コロナ禍における飼料高騰対策として、一部の地方自治体では、農家からの納税証明書内訳を活用し、農業資材費や燃料、電気料金に対して定率の直接支援を行うという、申請負担の少ない手法が採用されました。今回のエネルギー、資材高騰の深刻さはあのときをはるかに超えており、しかも対象は施設園芸農家だけに限りません。
構造転換支援やセーフティーネットの枠外に置かれている中小規模農家に対して、同様の簡易な手法による緊急の経営継続支援を早急に実施すべきではないでしょうか。その際、青色申告者に限らず、白色申告者も対象に含めることが不可欠と考えます。形だけの支援では、一次産業は破局を迎えます。大臣の踏み込んだ見解をお示しください。よろしくお願いいたします。
○根本副大臣 お答え申し上げます。
現在、原油やナフサ由来の石油製品については、備蓄の放出や代替調達を通じて、年度を越えて供給継続が可能となっておりますが、供給見通しの共有不足や実績以上の発注などで、農業現場からも希望する数量が調達できないといった声をお伺いをしているところであります。
これまで、農林水産省では、相談窓口に提供いただいた情報などに基づき対応してきたところでありますが、今月二日に開催された中東情勢に関する関係閣僚会議において、高市総理から、園芸農家の農業資材について、流通過程の実態把握などに重点的に取り組むよう御指示を受け、地方農政局などを通じて農業現場から直接お話を伺うことで、一つ一つ問題解決を更に進めているところであります。
また、資材価格の上昇に対しては、これまでも、政府として、燃料油価格の高騰に対する緊急的激変緩和措置が行われ、燃料を使用する全ての農業者の皆様の負担軽減が図られてきたところであります。
加えて、農林水産省といたしましては、施設園芸で使用する燃油の価格の高騰に対し、施設園芸農家などの経営への影響を緩和するための補填金を交付する制度を講じており、中東情勢以降、価格急騰時に補填額を増加する急騰特例を発動しているほか、資材全般の上昇については、農林漁業者が日本政策金融公庫から借り入れる農林漁業セーフティネット資金などに対する金利負担軽減の措置も講じているところであります。
引き続き、農業者の皆様が安心して経営継続していただけるよう、全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
以上です。
○山崎委員 済みません。高知県とか四国においては、本当に、小規模の農家の皆様方をどう守るのかというのが非常に重要であります。丁寧に通告もして、最後は大臣から直接お答えいただきたくお願いしておりましたけれども、非常に残念でありました。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。